インターナショナル・アントレプレナーシップ (2) SME ファイナンス
最近ゲストスピーカーづいているが、今日は SME ファイナンスのファンドを運営している Tom Gibson 氏による話。SME(Small and Medium Enterprise)ファイナンスとは、途上国の発展を目的として、中小企業を支援する小規模ファイナンスの仕組みのことで、マイクロファイナンスとも呼ばれている。
途上国の発展を促す上で何故中小企業なのか、という疑問を持つかもしれないが、これはピラミッド・アプローチの発想から来ている。一般に、一国の人口分布を、上から下に富裕層・中間層・貧困層という 3 層からなるピラミッドの形に描くと、先進国では少数の富裕層・貧困層に挟まれる形で非常に厚い中間層が形成されているのに対して、アフリカなどの途上国では少数の富裕層・中間層の下に巨大な貧困層が横たわるという構造になっている。SME ファンドはこの点に着目して、途上国において、中間層を厚くしていくことがその国の経済の底上げを図る、という考えの下、中間層となる母体として中小企業の成長を支援していく、というもの。
といっても、このような国々においては、ファイナンスを受ける候補となる中小企業は家族型経営で細々と事業を行っているのが通常で、伝統的な銀行による貸出型ファイナンスでは担保価値が十分でなかったり(例えば、その国で初めての事業を行う場合その生産設備は流動性が少なくて担保価値が少ないなど)、一方でベンチャーキャピタル型ファイナンスを行うにはガバナンスの認識や exit(IPO や M&A)の機会が十分でないなどの問題がある。このために、SME ファイナンスでは、従来型貸出と VC 型投資との中間的な、ミドルリスク・ミドルリターンのファイナンスを導入している。具体的には、成長企業に対して、少額のマイノリティ投資に加えて、ローンによる貸出を行った上で、貸出部分は、金利を低く抑える(例えば prime rate - 2%)一方で、ロイヤルティとして売上の 2-3 % を受領する。これによって、ファンドは、十分な担保を持たないというリスクを取る代わりに、売上という会計的に明白な指標を通じてアップサイドを得ることができる。
調達サイドは今のところ IFC などの公的資金が中心となっているが、最近ではファンドがそこそこのリターンも上げつつあることもあり、生保などのプライベートな資金も入ってきているそうだ。社会的な使命を達成するのに、こういった市場的な仕組み・技術を活用するというケースは、今後益々増えてくるだろう。